意識データと行動データ 3


意識データと行動データ 1
意識データと行動データ 2

意識データは何の役に立つのか:効果測定

ここまで、(量的な)意識データは学問としての厳密さには欠けるものの、ビジネスとして、「役に立つ」データではあると書いてきました。では、何の役に立つのでしょうか?「効果測定」と「ユーザー調査」に分けて考えてみたいと思います。
現場では、よく「効果測定」と「ユーザー調査」が混同されています。この2つは調査対象が全く異なります。「効果測定」は、何らかの施策を行った時、効果があったのかどうかを測定する方法です。「ユーザー調査」は、ターゲットとなるユーザーを調査することです。効果測定は「施策」に対する調査であり、ユーザー調査は、「ターゲットユーザー」に対する調査です。
まず、効果測定における意識データの有用性について考えます。ここではWebサイトに絞って考えます。効果測定における「効果」とは何に対する効果か。それは施策の目的に対する効果です。効果測定は施策の目的を測定し、評価することです。施策の目的はそれぞれ異なります。例えば、ECサイトの場合、商品を販売することが目的なため、販売額を測定し評価することが効果測定となります。サイトへつれてくること「だけ」が目的のネットADの場合、サイトへの流入数やCTRが評価対象となります。ECサイトなど、施策の目的が「行動」へと直接結びつく場合、行動データが非常に役に立ちます。しかし、施策の目的が行動へと結びつかないことが往々にしてあります。
Webサイトに限らず、マーケティング施策の役割として、最も包括的な概念として考えうるのは、「態度変容」です。商品について「知らない状態」から「知っている状態」への態度変容、「興味のない状態」から「興味をもった段階」への態度変容、「興味があるだけの状態」から「欲しいという状態」への態度変容、「欲しい」から実際に「購入する」への態度変容。あらゆるマーケティング施策は態度変容を起こすために行われていると言ってもいいくらいです。
上の例はAIDMAプロセスに沿って書いていますが、このプロセスに限ってみると「行動」へと繋がっているのは、最後の購入(Action)だけです。それ以外の態度変容は全て意識の中で起こっています。もちろんAIDMAプロセスがマーケティング施策の全てではなく、行動を起こすことがマーケティング施策のゴールとなることもあります。ただ、マーケティング施策のゴールの大部分は「意識の中」で起こるものであることには変わりありません。
意識の中で起こった態度変容を測るための最も一般的な方法は意識データを取得することです。量的調査の場合、大部分はアンケートになるでしょう。意識の変化をうまく行動データへと落とし込ませるというやり方もあります。例えば、一時期流行った「続きはWEBで」はその代表例でしょう。しかし、このやり方には無理があります。第一に実際に行動するのは態度変容が起こったユーザーのうち、ごく少数です。それでは施策が過小評価されてしまいます。第二に、ユーザーに無駄な負担をかけてしまいます。態度変容を起こすために施策を行うのではなく、効果測定をするために施策を行うはナンセンスです。やはり意識下での態度変容を測定するには、意識データを取得するしか方法はありません。

意識データは何の役に立つのか:ユーザー調査

ユーザー調査を行って、何か新しい発見をしたい場合は質的調査を行った方が間違いなく良い結果がでます。ただ、なんとなくアタリをつけたい場合、報告するためにデータが必要な場合など、量的データが必要になることがあります。そのような場合にも(量的な)意識データが必要とされます。そもそも行動データは取れる範囲が圧倒的に狭いため、必要な情報が無いという場合がぼとんどです。例えば、Webサイトに必要な機能は何か知りたいという場合、現在提供中の機能についてはアクセスログから類推することができますが、まだ提供していない機能については、行動データを取得することは当然不可能です。過去の行動について知りたいという場合でも、行動データを取得することはほとんど不可能ですが、アンケートであれば過去の行動について訊くことができます。ユーザーについての(量的な)データが必要な場合、意識データを使わない手はありません。

なぜ今あえて意識データか?

いや、みんなあまりにもClickstreamデータに依存しすぎじゃない?ってことです。アクセスログによる行動データが強力なのはわかっていることですが、クリックストリームに依存しすぎていて、それ以外の手法はないことになっていませんか?
Avinashはそこの所が非常によくわかっていて、Trinity Strategyを提唱しています。Avinashにとって、”Behavior”(Clickstream)は必要なデータの1/3でしかありません(OutcomesはClickstreamの可能性も大いにありますが)。”Experience”では、Customer SatisfactionやVOCなど記載されており、Surveyを重視する姿勢を見せています。Clickstreamデータはあくまでも調査・評価の一面に過ぎず、目的に応じて、調査・評価手法は使い分けるべきです。
そこまではわかっている。じゃ、実際にどうデータをとればいいのさ?っていう意見は多いと思います。Webでは行動データの取得の方が圧倒的に容易です。気軽にアンケートを行うことはできないかもしれません。いやいや、そんなことありません。気軽に行えばいいんです。そのやり方については、またどこかで(業務上、書いていいのかどうかわかりませんが。。。)。

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